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ガンマナイフ治療センターGamma knife

ガンマナイフとは?

半世紀前から実用化されているガンマナイフ治療装置の歴史

世界に普及するガンマナイフ治療

ガンマナイフは、定位放射線治療(病気に集中して高線量の放射線を照射する治療)の中で、最も長い歴史をもち、現在最も普及した治療法です。2016年時点で、世界で315台(日本で54台)のガンマナイフが設置されています。装置はエレクタ社(スウェーデン)で製造され、世界中で均一な動作性を管理されている信頼度の高い治療装置です。

世界のガンマナイフ治療装置

日本はガンマナイフ立国

315台のガンマナイフ装置のうち、もっとも数が多い米国に122台、次いで日本(54台)、中国(22台)、韓国(18台)、トルコ・イタリア(それぞれ8台)の順になります。世界51か国に導入されていますが、半数以上の国々では、「ひとつの国に1台のガンマナイフ装置」しか導入されていないのが実情で、54台も導入された日本は、国土の狭さを考えると患者さまにとっては実に恵まれた「身近な治療」となっています。兵庫県下では、神戸市の新須磨病院のほか、尼崎市と姫路市にあり、計3台が稼働しています。

外見内部のしくみコバルト60のチップ

ガンマナイフのしくみ

最新のガンマナイフ(パーフェクション)の構造です。円錐状に配列された196個の放射線源(コバルト)から発生するガンマ線を、それぞれを細いビームにして、それらを中心点に集束するように作られています。コリメーターと呼ばれる金属に開いた多数の小さな穴(直径4mm、8mm、16mmの3種類)を通してビームが作られます。この穴から、ガンマ線が中心点に向かって放射されます。一つ一つの穴から出されるガンマ線は弱くても、コリメーターの中心点では高線量となるため、正確に病気を照射することができます。放射性同位元素であるコバルト60は、天然資源のコバルト(原子番号59)に中性子を当てることにより作られ、半減期はおよそ5年です。

サイバーナイフとの違い

ガンマナイフとサイバーナイフ

放射線発生装置

  • ガンマナイフ:線源(コバルト60)が196個です。
  • サイバーナイフ:線源(直線加速器)が一つです。

治療できる病気

  • ガンマナイフ:頭専用の器械です。
  • サイバーナイフ:頭も頭以外の全身も治療の対象となります。

頭の固定

  • ガンマナイフ:ピンあるいはマウスピースで頭を固定します。
  • サイバーナイフ:顔面全体をプラスチッックネットで固定します。

それぞれの長所

  • ガンマナイフ:多数の小さな病変があるときに威力を発揮し、短い時間で治療できます。
  • サイバーナイフ:ひとつの大きな病変があるときに、短い治療時間で均一に照射できます。

ガンマナイフの分割照射

外見内部のしくみコバルト60のチップ

ガンマナイフの得意とする照射方法は、小さな腫瘍を正確にピンポイントで放射線を当てて一回で治療することですが、大きな腫瘍を治療する場合には、サイバーナイフなどと同様の弱い放射線を何回か繰り返して照射して治療(分割照射)することも行っています。ピンで頭を固定することを2~3回(1~2週間の間隔を空けて)照射する方法、マウスピースにより頭を固定し(エクステンド)、5~10回(毎日照射します)かけて照射する方法、など患者さんの病状に応じた対応を行っています。
外来通院治療が可能です。
およそ8%の患者さんに対して分割照射を行っています。92%の患者さんは、一回で治療を終えています。

新須磨病院のガンマナイフ治療について

新須磨病院の年間のガンマナイフ治療件数

新須磨病院のガンマナイフ治療へ患者様をご紹介いただいた病院

新須磨病院ガンマナイフ治療センターの歴史

1992年12月日本で9番目、西日本で初めてのガンマナイフとして治療を開始しています。開設当初は、遠く九州や山陰地方からの患者さまもたくさん来院されました。現在は他府県へのガンマナイフの普及と共に、近隣の地域からの患者さまが多数を占めるようになり、兵庫県、徳島県、香川県、及び大阪府の一部の地域からの患者さんが来院されています。2015年末の時点で総治療件数は8,000件を超えました。最近5年間の患者様をご紹介していただきました病院と、年別の治療疾患数を図に示します。年々、転移性脳腫瘍の治療数が増加しています。これは、癌患者の増加や抗癌剤治療の進歩により、原発巣がよく制御され、長期間生存できる患者さんが増え、結果として脳に癌転移を持つ患者様の数も増えたためと考えられます。
2011年1月に最新型のパーフェクションを導入し、2013年7月より分割照射を可能にするエクステンドの使用を開始しました。
さらに2015年9月、治療のためMRI検査をすべての患者様において高精度3.0テスラMRIにて行うように改良して、ガンマナイフ治療装置の特性を最大限に引き出す治療体制を作っています。

ガンマナイフ治療の費用と日数

健康保険が適応される治療です。高額医療の手続きを行うことにより、一定額以上のお支払いは償還されます。保険の種類、患者様の年齢、収入などより、同じご病気でも支払額は異なってきますので、病院窓口にておたずねください。日数は、およそ9割の方が日帰り治療(0泊入院)で、その日のうちに帰ることができます。遠方の方や体調が不安な方は1-2泊の入院を選ばれる方もいらっしゃいます。

ガンマナイフ治療の曜日と時間

月曜から金曜日まで毎日治療を行っています。照射治療までの準備・検査等に数時間かかります。実際の照射治療に要する時間は、腫瘍の大きさと個数によります。大まかな目安ですが、小さな一つの腫瘍ならば30分以内、腫瘍が10個以上ある場合には、全部で3-4時間かかることもあります。

ガンマナイフ治療の手順(フレーム固定:1日で治療は終わります。)

ステップ1:MRI検査
当院では全ての患者さまを高精度3.0テスラMRIにて治療直前に検査いたします。造影を使ったMRI検査で、通常10-20分程度の検査時間です。

ステップ2:フレーム付け
四つのピンにて金属の枠(フレーム)を頭部に固定します。局所麻酔を頭とおでこに計4カ所に注射します。当院では、車いすに座っていただいた状態で、深い沈静のお薬は使用を差し控え、患者様と会話をしながら、フレームをつけます。およそ10分ほどで終わります。

ステップ3:CT検査
フレームをつけた状態でCT検査を行います。CTの画像にフレームの目盛がついていますので、それを基準に腫瘍の位置がコンピュータに登録され、MRI画像を合わせて治療計画を作ります。

ステップ4:照射治療
全ての準備が整ったら、フレームをつけた状態でガンマナイフユニットのベッドに寝ていただきます。ベッドが自動的に動いて治療が始まります。装置自体の大きさは、ちょうどMRIと同じぐらいです。治療中は、熱や痛みを感じることはありません。また、音がしなくて静かですので、音楽を流しながらリラックスして治療が行われます。

ステップ5:フレーム外し
治療後は、直ちにフレームを頭部から外して、終了します。病室に戻って、通常30分~1時間ほど安静にしていただき、異常が無ければ帰宅していただきます。ピンの跡は、絆創膏を一日貼って終わりです。

治療の手順

ガンマナイフ治療の手順(マウスピース固定:1~2週間かけて治療を行います。)

ステップ1:MRI検査
当院では全ての患者さまを高精度3.0テスラMRIにて治療直前に検査いたします。造影を使ったMRI検査で、通常10-20分程度の検査時間です。

ステップ2:歯科受診(マウスピース作成)
当院の歯科外来にて、患者さまひとりひとりの上あごの歯列にあったマウスピース(シリコン製)を作成します。30分ほどで出来上がります。

ステップ3:マウスピースと枕のフィッティング
ガンマナイフ治療装置のベッドで、患者さまひとりひとりの後頭部の形にあった枕を形成し、マウスピースを装着して固定性を確認します。

ステップ4:CT検査
マウスピースをつけた状態でCT検査を行います。CTの画像にフレームの目盛がついていますので、それを基準に腫瘍の位置がコンピュータに登録され、MRI画像を合わせて治療計画を作ります。

ステップ4:照射治療

全ての準備が整ったら、マウスピースと枕で頭がずれないように固定された状態でガンマナイフユニットのベッドに寝ていただきます。ベッドが自動的に動いて治療が始まります。治療中は、熱や痛みを感じることはありません。また、音がしなくて静かですので、音楽を流しながらリラックスして治療が行われます。治療後は、直ちにマウスピースを外して治療は終了です。

*初日はステップ1からステップ4までを1日で行います。二日目以降はステップ4のみを毎日繰り返します。多くの患者様が外来通院で治療を行います。

がんの脳転移についてのよくあるご質問

がんが脳に転移する確率は?

がんの種類によって、どこに転移しやすいか傾向があります。脳に転移しやすいがんは、肺がん(特に小細胞がん)、腎がん、皮膚がん(悪性黒色腫)、乳がんなどです。

ガンマナイフ治療を受けられる患者さんの実数としては、一番多いのが肺がん(7-8割)で、二番目が乳がんです。

分子標的薬などの新薬により原発巣がうまく治療できる時代になりました。結果として長期生存期間中に脳に転移が発見される機会も増えています。

肺がんの患者さんの8人に1人が脳転移をきたし、16人に1人がガンマナイフ治療を受けられています(兵庫県立がんセンター2004-2009年)。

脳転移には、抗がん剤は効かない?

原発巣(多くは肺がん)と脳転移巣が、同じ性質のがん細胞であったとしても、一般的には脳転移には抗がん剤は効かないと言われてきました。

理由は、脳の血管は、身体の他の部分の血管と違って、血液脳関門という「薬剤が脳の中にちゃんと入っていかない」バリアがあるからです。

実際にはある程度は脳の中にも薬剤は入っていくと思われます。ですから、抗がん剤治療は、脳転移に対しては、身体の他の部分ほどには効かない(100%の薬剤の効果が発揮できない)、というのが正しいと思います。

脳転移と全脳照射の意義

全脳照射の最大の長所は、MRI検査で見えない小さな脳転移まで照射して治療できることです。ガンマナイフではMRI検査で見えるものしか治療できません。

全脳照射は一生で一度(1クール)だけしか使うことが出来ません。正常脳へのダメージが危惧されるからです。

高齢者では、全脳照射後に認知症になるリスクが多少増えます。

多数個の脳転移が散在していて、MRI検査で見えない微小転移がさらに多数潜在すると予想される病状には全脳照射が勧められます。

多数個の脳転移:何個までガンマで治療できるか?

脳転移の個数だけで、ガンマナイフ治療をするか(あるいは全脳照射を当てるか)を決めることはできません。

現場では、治療にかかる時間、それぞれの転移巣の大きさ、使用中の抗がん剤の期待される効果、予想される病勢などを考慮します。

手技上は、何個でも治療します(特に全脳照射後で他に治療手段がないとき)。がんばって治療しても延命が期待できない場合には、治療を勧めしません。

新須磨病院における、脳転移の治療の実際の資料を図に示します。およそ1/4の患者さんが2回以上のガンマナイフ治療を受けられています。

新須磨病院における転移性脳腫瘍のガンマナイフ治療の回数

大きな腫瘍:何センチまでガンマで治療できるか?

ガンマナイフ治療は3cmの大きさまで、という「都市伝説」がありますが、現実はそう単純ではありません。

小さければ小さいほど(3cmよりも2cm、2cmよりも1cm)、治療は安全で治癒率も高いです。1cmを超えると大きければ大きいほど、完治できない率が増えてきます。

3cmを超える大きさで、他に治療法が無い場合には、「別項」に記載しました「分割照射」の方法を用いて治療します。

ガンマ治療のあとの脳浮腫とは?

ガンマナイフ治療のあと、数ヶ月にわたって周囲の脳が「むくむ」ことがあります。

理由は、放射線を浴びた脳腫瘍の細胞が死滅していくときに、「むくみ」を引き起こす物質を放出するからです。また、腫瘍の塊の周囲の脳に若干の放射線が当たることも影響します。

多くは一時的で、症状(頭痛や麻痺など)が出た時にはステロイド剤を数週間服用することにより症状は改善します。

ガンマ治療のあとの放射線壊死とは?

ガンマナイフ治療のあと、数年かかって徐々に周囲の脳が「むくむ」ことがあります。

理由は、放射線で死滅した細胞が塊として脳の中に残されているからで、大きな腫瘍、強い放射線を当てたときに起きやすいです。

ステロイドを数ヶ月服用することにより「むくみ」が徐々に退いていくこともあります。

ステロイドが長期間服用できないとき、またはステロイドの効果が不十分なときには、手術による摘出が必要になることもあります。

脳転移治療後の再発:同じ場所に再発が疑われたとき

ガンマナイフ治療後、数ヶ月で腫瘍が再び大きくなる場合には、腫瘍の性質(放射線感受性)が放射線治療に適していないと考えられ、手術による治療が勧められます。

ガンマナイフ治療後数年たってから、MRI検査上造影領域が大きくなることがあります。放射線壊死だけの塊、あるいは放射線壊死の塊の中に再発した腫瘍が散在することがあり、MRI検査では区別が難しいことが多いです。

病状により、①再度ガンマナイフ治療、②手術による摘出、の二つを使い分けます。

脳転移治療後の再発:新しい場所に転移が見つかったとき

原発巣のがんが完治しない限り、がん細胞の脳への転移の可能性は消えません。

ガンマナイフ治療を行った後で、脳内の別の場所に転移が新しく見つかることは珍しくありません。

定期的(3-4か月に一回)にMRI検査を続けて、早期に発見し小さいうちにガンマナイフ治療で治すことが勧められます。

がん性髄膜炎(がんの髄膜播種)とは?

がん細胞が脳脊髄液の中に広がった状態です。髄液の中で脳(時には脊髄)の表面に沿って広範囲にがん細胞が広がります。

診断は、MRIと髄液検査で行います。一回の髄液検査では「播種なし」と見逃されることがあります。

治療は、全脳照射、抗がん剤の髄腔内投与などですが、正常な脳へのダメージが危惧されます。ガンマナイフでは塊となった部分しか治療できません。

一般的に塊を形成している脳転移よりも治療が難しい状態です。

脳転移とリハビリテーション

脳の症状がある患者さんの治療の流れ

手足の麻痺症状のある患者様の場合、ガンマナイフ治療と並行して点滴治療とリハビリテーションを組み合わせて行うことがあります。

症状が出てから間もない早期でしたら、一定の期間、治療を行うことにより症状の早期改善が期待できます。

多くは数週間の入院治療で、ガンマナイフ治療を複数回に分けて段階的に行うことが多いです。

緩和ケアとしてのガンマナイフ治療

脳転移と緩和ケア

全身のがんが進行して、使える抗がん剤がなくなり、緩和ケアに入る患者さんの脳転移をガンマナイフで治療することがあります。

治療の目的は、脳転移の症状が悪化することを回避し、残された生存期間中を少しでも快適に過ごすことができるようにすることです。

当院では、脳転移の治療例のおよそ8%の患者様が緩和ケア状態からのご希望があり治療させていただきました。

終末期で意識状態が悪かったり、認知症症状が出ている患者様にはお勧めできません。

脳転移の患者さんの苦痛

脳転移を抱えながら亡くなる、ということ

患者様にとって、とても気になることですね。

脳転移があって亡くなられる患者さんの9割程度の方は、実は脳転移のために亡くなるのではなく、全身のがんの状態の悪化のために亡くなります。

脳転移が原因で亡くなる場合、脳転移の場所と数によりますが、一般的には、痛みや不安感を感じることは少ないです。徐々に、寝たり起きたりの生活になり、眠るように亡くなられる方が多い印象です。

緩和ケアの一環として、お薬を使って平穏な時間を過ごせるように終末期治療を行うこともありますのでご相談ください。

「健康であったのに、いきなり、肺がんが脳に転移している」と宣告されました。

大変なショックで、冷静に対応できないこととお察します。

落ち着いてください。全身にがんが転移しているとしても、まだなんのお薬も使っていない身体です。よく効く最近のがん治療薬が奏功する可能性はあります。

まず脳転移をガンマナイフで叩くことをお勧めします。抗がん剤治療がスムースに続けられるように、頭の障害が途中で出ないよう先に治療しておく方が良いでしょう。

当院で治療を受けられる脳転移の患者さんの12%は、肺がん(原発巣)と肺がんの脳転移を同時に発見されて、まず脳転移を先に治療するために来院されました。

ご依頼があれば、早急に治療いたします。

がん以外の病気のガンマナイフによる治療

偶然見つかった脳腫瘍:髄膜腫

髄膜(硬膜)から発生する腫瘍で、頭蓋内のどこに腫瘍があるか、によって予想される症状や治療に際しての難易度がかなり違ってきます。

安全に手術で全部摘出することが最も望まれます。

頭蓋底部で大切な神経・血管を巻き込んでいる髄膜腫は、症状を悪くしない範囲で手術を行い、残った部分をガンマナイフで治療します。

どれだけのスピードで増大するか、経過をみることも考慮すべきです(wait & see)。

数%ですが、悪性度の高い髄膜腫もあり、この場合は、速やかに治療を行うべきです。

再発を繰り返す脳腫瘍:髄膜腫

新須磨病院における髄膜種のガンマナイフ治療の回数

良性と言われる髄膜腫でも、増殖力が活発なものでは、外科摘出後に再発することがあります。過去当院での500人以上の治療の中で、33人の患者さんが再発により複数回のガンマナイフ治療を受けられています。

腫瘍の「塊」ではなく、「すその」の部分から再発することが多いです。

再発してくる部分の腫瘍細胞は、元の腫瘍細胞に比べて増殖力がより活発であることが多く、さらに再発を繰り返すことになりがちです。

手術を繰り返すよりは、早期に再発を見つけて小さなうちにガンマナイフ治療を行う方が負担が少ないです。

悪性髄膜腫である場合には、再発を繰り返すうちに稀に肺などに転移することがあります。

偶然見つかった脳動静脈奇形

新須磨病院における髄膜種のガンマナイフ治療の回数

治療の目的は、将来の出血の予防です。

病気はひとそれぞれ、大きさや場所が違います。年齢や体力、治療のリスクを考慮して十分に納得された上で、治療を受けられることをお勧めします。

①手術、②カテーテル治療、③ガンマナイフ治療の3つの治療法があります。どれも大切な治療法ですが、それぞれ長所短所があります。いくつかの治療法を組み合わせて段階的に治療を進めることも多いです。

ガンマナイフ治療では、放射線を当てることにより数年で奇形血管の内部が詰まっていきます。80%の患者さんで、3年後に血流が途絶え出血しなくなります。

3年後に詰まっていない奇形血管があれば、再治療を行います。また、稀ですが、長年時間がたってから遅発性放射線障害が報告されています。

当院で治療した脳動静脈奇形の患者さん545名の年齢分布(1992-2015年)を上に示します。20~30歳代の患者さんが治療を受けられることが多いです。

偶然見つかった脳腫瘍:聴神経腫瘍

聴神経そのものが腫瘍になるので、治療をおこなっても聴力障害は改善しにくいです。

①手術、②ガンマナイフ治療、③経過観察(wait &see:定期的にMRI検査を行いながら経過をみる)、の3つの方法があります。

腫瘍の大きさだけではなく、年齢、体力、聴力低下の程度、進行の早さなどを考慮して、時間をかけて十分に納得された上で、3つの中から方法を選ばれることをお勧めします。

大きな腫瘍では、安全な範囲を手術を摘出して、残った部分をガンマナイフで治療します。

悪性であることは非常に稀です。

下垂体腺腫とガンマナイフ治療

良性の腫瘍で、①視力障害、②ホルモン症状、が症状です。

できるだけ手術(多くは鼻の孔から手術できます)で安全な範囲をできるだけ摘出することが望まれます。

高齢で手術ができない患者さんや、手術で取り切れない腫瘍が残っている場合については、ガンマナイフで治療する場合があります。

視力障害がない場合には、経過観察でしばらく様子をみることも多いです。

ホルモンが過剰になる腫瘍(プロラクチン産生腫瘍、成長ホルモン産生腫瘍)は薬物治療が著効することが多く、内科的治療を相談しながら進めてください。

三叉神経痛とガンマナイフ治療

当院での三叉神経痛のガンマナイフ治療

2015年より健康保険で治療できるようになり、費用の負担が軽減されました。

お薬では抑えきれない痛み(特発性三叉神経痛)が対象となります。脳腫瘍、多発性硬化症、ヘルペスなどの別の病気が原因で三叉神経が痛む時には効果はあまり期待できません。

治療効果は治療後時間とともに薄れ、5年で半数程度の患者さんが元の痛みの状態に戻ります。

痛みが再発した際には再治療が可能です。

ブロック治療、開頭術後に痛みが再発した患者さんでは、過去の治療により三叉神経が変性(炎症性変化)していることがあり、この場合にはガンマナイフの効果は弱くなります。