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病気

胃・十二指腸に穴があく ~上部消化管穿孔~

外科

辻 義彦

2024/03/30
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上部消化管穿孔

胃あるいは十二指腸が穿孔して(穴があいて)、胃内や十二指腸内の消化液が腹腔内に漏れ出て腹膜炎をおこす病態です。多くが胃十二指腸潰瘍の穿孔ですが、まれに進行した胃癌の穿孔もあります。

症状

強い上腹部痛が特徴で、汎発性腹膜炎の状態になると腹部全体の痛み、腹部膨満感(お腹が張って苦しい状態)、嘔気嘔吐、発熱などがみられます。

診断

左)レントゲン画像 右)CT画像

レントゲンや腹部CT検査で腹腔内遊離ガス像(free air)が確認され、痛みが上腹部にあれば強く疑われます。胃十二指腸潰瘍の既往があったり、ストレスがかかっていたりする状況も診断の参考になります。確定診断のためには上部消化管内視鏡検査が必要ですが、送気(胃を膨らませて観察するために空気を送ること)により病状悪化することがあるので適応は慎重にする必要があります。胃透視検査はバリウムが腹腔内に流出して大変なことになるので禁忌とされています。

治療

  • 開腹あるいは腹腔鏡下での大網充填、穿孔部閉鎖術
  • 上部消化管内視鏡による大網充填術
  • 胃切除術(開腹あるいは腹腔鏡下)
  • 腹腔内ドレナージ術(腹腔鏡下あるいは経皮的)
  • 保存的治療(絶食、点滴、抗潰瘍剤投与、抗生物質投与など)
  • 後日、適応例ではHelicobacter Pylori除菌が必要
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