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強い腹痛の原因はこれかも ~急性膵炎~

外科

辻 義彦

2024/03/30
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膵臓の解剖と機能

膵臓は上腹部、胃の裏側あたりに存在する臓器で、実際には腹腔内ではなく後腹膜腔内に存在しています。内分泌機能と外分泌機能を有しており、おおまかには、内分泌機能としてはインスリンやグルカゴンを血液中に分泌して血糖調整を行い、一方外分泌機能としては膵液(強い消化酵素)を十二指腸へ向けて出しています。

急性膵炎とは

何らかの原因によって膵臓に急激な炎症が起こる状態です。膵臓の中で消化酵素が働いてしまった場合、膵臓自体が消化されて溶けてしまいます。ひどい場合は消化酵素が膵臓から漏れ出て周囲の組織までを溶かし、そこで産生された大量の有害物質が血液を介して全身の臓器に及んで全身重症化することもあります。

急性膵炎の原因

 主な原因としてはアルコールと胆石があります。そのほかに薬剤性や脂質異常症などもあります。また膵臓がんが隠れていることもあります。

急性膵炎の症状

軽い急性膵炎の場合には気がつかないうちに数日でなおってしまうこともあります。一般的には強い上腹部痛や背部痛などがみられ、痛みのためエビのように体を屈曲するというのが典型的です。発熱や食欲低下、黄疸などを伴うこともあります。

急性膵炎の診断基準

  1. 上腹部に圧痛あるいは腹膜刺激症状を伴う急性腹痛発作がある
  2. 血中、尿中、又は腹水中のアミラーゼの上昇
  3. 画像、手術または剖検で膵に異常がある

急性膵炎の検査

血液検査(炎症所見高値、アミラーゼ高値、肝機能障害など)、腹部エコーや腹部CT、MRIなどの画像診断をおこないます。

急性膵炎の治療

軽症から中等症の場合には、絶食、点滴、抗生物質投与、膵酵素阻害薬投与などを行います。
重症膵炎の場合には上記に加えて、重症感染症としての全身管理(昇圧剤、人工呼吸、CHDFなど)が必要になることもあります。また膵臓周囲の壊死組織に細菌感染、膿瘍形成がおこった場合には、外科治療(壊死組織摘除、ドレナージ)が必要になります。

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