医療法人社団 慈恵会 新須磨病院

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2022年春号

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春の不調・新生活に備えよう!特集

 春の不調・新生活に備えよう!特集 1 

めまい〜外リンパ瘻〜

外リンパ瘻(ろう)って?

 外リンパ瘻はまだまだ知らない方が多いと思います。ですが、その実態は非常にありふれた耳の病気であり、フラツキ、めまい、難聴、耳鳴り、耳閉感、気分不良など様々な症状を引き起こします。

外リンパ瘻=内耳窓破裂症

 耳は音とバランス(平衡)に特化した感覚器官です。外耳は音を集めて鼓膜に伝え、中耳では増幅して内耳に伝えます。内耳は蝸牛というところで音を感覚し、耳石器・三半規管でバランス(平衡)を感覚します。内耳は非常に繊細な感覚器官ですので頑丈な骨に囲まれています。中身は2重構造になっていて、外側に外リンパ、内側に内リンパと呼ばれる液体が存在しています。内耳と中耳には、“卵円窓”と“正円窓”の2つの窓があり、この2つは空気中の音を聞くのに必要不可欠で、常に音に反応して動いています(図2)。しかしながら、この作用が外リンパ瘻を引き起こす弱点となります。
 外リンパ瘻は別名「内耳窓破裂症」と呼ばれ、その名の通り内耳の窓が圧の変化などにより穴があき(図3)、外リンパが内耳から中耳側に漏れて、音や平衡感覚の障害を生じ、様々な症状を引き起こす病気です。

外リンパ瘻は決して特殊な病気ではなく、めまいやフラツキ、
吐き気など、日常のなにげない動作で起こりえる病気

きっかけは日常生活でありふれた行為

 きっかけとしては、例えば鼻をかんだ時やくしゃみ、咳、いきんだり、大声を出したり、笛やハーモニカ等を吹いた時、重い物を持ち上げたり耳抜きをするなどです。また外傷であれば頭部の打撲やむち打ちなどがありますが、一般的には日常生活でありふれた行為が原因となります。
 発症しやすい方に関しては、統計では女性が多く、体系ではやせ型や中肉中背の方に多く見受けられます。これは内耳の構造が華奢かどうかという点に関係しているのかなと思います。なかには、時々発症する方や無症状の方もおられます。
 日常生活でありふれた行為から起きるからこそ、普段から「息をとめない」「うつむかない」「気張らない」、この3点に注意して生活してほしいと思います。ちなみに余談ですが、クジラやイルカは哺乳類ですが、深く潜水しても外リンパ瘻にはならないのです。なぜなら耳垢で耳が詰まっているから。水圧の変化に耐えることができるほどしっかり詰まっているので、耳垢を取り出したら年輪のようになっているのです。

外リンパ瘻を見過ごさないよう
新須磨病院独自の外リンパ瘻診断法を考案

 外リンパ瘻は、内耳の窓から外リンパ液が漏れ出ることによって、内耳の中で洪水のような波や大波、小波が生じることで、音や平衡感覚を司る有毛細胞に障害を与え、その結果前述したようなさまざまな症状を引き起こすことになります。また外リンパ瘻による突発性の難聴やめまいの症状などは、突発性難聴やメニエール病と診断されてしまうことも。他にも、気分が悪かったり吐き気がするといった理由から自立神経失調症や更年期障害、うつ病と診断されてしまうこともあります。つまり、外リンパ瘻は他のさまざまな症状と似ているため見過ごしてしまう可能性もあるのです。当科では外リンパ瘻を見逃さないため、例えばめまいやフラツキで来院された患者さんには、まず初めに外リンパ瘻を念頭に置き、そのうえで診察することを大切にしています。
 また、2004年以降から独自の外リンパ瘻診断法を考案し、その診断法を使って診療しています。外リンパ瘻では外リンパ液の流出が常に変化することから聴力の変化や平衡機能の変化を重視しており、最近では内耳3DMRI画像などの画像診断も診断の手段として応用しています。内耳窓からの外リンパ漏出を描写することにより、診断に応用しています。
 また毎週木曜と金曜のお昼から外リンパ瘻外来を行っており、そこに外リンパ瘻の疑いを持たれた開業医さんからの紹介だけでなく、紹介内容から外リンパ瘻が疑われる患者さんなどを中心に診察しています。
 早期発見で外リンパ瘻の原因が明らかな場合は、必要に応じて入院し安静にしていただく保存的治療を行います。めまいやフラツキに対しては一般的な投薬に加えて、上半身挙上(リクライニング)による安静と睡眠、日常で「うつむかない」「気張らない」「息を止めない」「息を吐く」ことなどを心がけてもらうようにしています。また高度な突発難聴の際には入院していただき、上半身挙上による安静とステロイドの点滴を行います。
 上記のような保存的治療でも改善がみられなく、日常生活に支障をきたす場合には、手術(内耳窓閉鎖術)を行うこともあります。当科では、外リンパ瘻と診断した症例で手術に移行する例は約20%です。
 外リンパ瘻は直接生命に関わる病気ではありません。しかし個人差はありますが、不愉快な症状が残り、日常生活に支障をきたすこともあります。もし少しでも不安がある場合は、まずかかりつけ医や外リンパ瘻外来で相談していただければと思います。

 春の不調・新生活に備えよう!特集 2 

睡眠障害について

患者さんが良い睡眠を確保し、
将来的な病気を予防することで充実した生活が送れるように

 睡眠障害とは文字通り、睡眠に何らかの問題が生じている状態のこと。例えば、寝つけなかったり、息苦しくて目が覚めてしまったり。また、睡眠中に徘徊したり、異常行動に及んだりすることも睡眠障害の一種です。
 睡眠障害はどの年代でも発症するリスクがありますが、大人と子供では発症しやすい疾患の種類が異なる傾向にあります。大人は「不眠症」をはじめ、夢で見たことをそのまま行動に移してしまう「レム睡眠行動障害」、極端な早寝・早起きをしてしまう「睡眠・覚醒前進障害」、心不全などに関連する無呼吸症状の「中枢性睡眠時無呼吸」などが代表的です。
 一方、子供はアデノイド肥大や口蓋扁桃肥大の影響によって起こる「閉塞型睡眠時無呼吸」、十分な睡眠時間を確保していたとしても異常な眠気が襲い、食事中や歩行中でも眠ってしまう「過眠症」、入眠と覚醒の時間が遅くなってしまう「睡眠・覚醒後後退障害」などが見られることがあります。「不眠症」は例えば夜遅くまで携帯電話を見たり、起床・就寝時間の乱れなど生活習慣の問題に起因することがあり、生活習慣の改善が有効です。「レム睡眠行動障害」は認知症やパーキンソン病の前触れとも言われています。また、「閉塞型睡眠時無呼吸」は睡眠薬などによる薬剤性のほか、肥満や飲酒、前後径が短く平たい顔面骨格(アジア系に多い)も影響していると考えられています。
 当院での治療としてはまず、問診で睡眠の問題点を洗い出すところからはじめます。次に、気道狭窄がないか鼻・口・咽喉頭を確認。その後、患者さんに簡易睡眠検査装置をお送りし、ご自宅で計測いただきます。それでも診断がつかない場合は、入院でポリソムノグラフィーを使用し、睡眠障害の診断や重症度判定などを行います。
 かくいう私も高校時代から睡眠障害に悩まされていた一人で、睡眠の大切さを痛感しました。さまざまな睡眠障害によって大切な睡眠が妨げられると、脳・心臓の疾患や突然死のリスクが高まるだけでなく、うつ病を引き起こす要因や食欲増進ホルモンが活性化されて痩せにくい体質になることもあります。患者さんがより良い睡眠を確保し、将来的な病気を予防し、充実した生活が送れるよう、お力添えができればと思います。睡眠中の異常ないびきや無呼吸、異常行動、足の痙攣など、気になる症状があれば、ただちに専門医にご相談ください。

 春の不調・新生活に備えよう!特集 3 

睡眠時無呼吸症候群(SAS)について

日頃のちょっとした意識の積み重ねが
SASの予防につながっていく

 「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」には、睡眠中に大きないびきや浅い呼吸(低呼吸)、呼吸停止(無呼吸)といった症状が見られます。いずれも睡眠中のため自覚しにくく、家族に指摘されて気付くケースがほとんどです。自覚症状として多いのが、日中の強い眠気、倦怠感、頭痛などが挙げられます。
 SASが発症するケースは、小児と成人でさまざまです。小児では、アデノイド肥大や口蓋扁桃肥大によるものが一般的。成人では、肥満による口峡や咽頭腔の狭小化・舌肥大のほか、アレルギー性鼻炎などによる鼻閉や小顎による舌根沈下、加齢による頸椎の変形や舌根沈下の増悪のある方が発症する傾向にあります。
 SASの原因は、肥満と加齢によるものが大半です。特に、メタボリックシンドロームを有する方はSASと合併するリスクが高く、互いに悪影響を及ぼすと言われており、低酸素による代謝不全や血清脂質の上昇、内臓脂肪の増加や血圧の上昇などを引き起こす恐れもあります。実際、当院内科の「糖尿病高脂血症外来」から当科に紹介されるケースも少なくありません。
 診断には終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)を用います。通常の換気量が50%以上低下する浅い呼吸が10秒以上続けば「低呼吸」としてカウント、呼吸停止が10秒以上続けば「無呼吸」としてカウントし、睡眠中の時間あたりに「低呼吸」と「無呼吸」の合計回数が5回以上見つかれば診断確定になります。
 SASが疑われればご自宅で簡易PSG検査を実施していただきます。ご自宅へ検査キットが郵送されますので、説明書に従ってご自身でモニターを装着してひと晩眠っていただき、キットを返送いただくと2~3週間で当科に結果が届くシステムになっています。診断結果が軽症から中等症の方は、側臥位や舌体操の指導、口腔外科でのマウスピース治療を実施。中等症から重症の方は入院検査でのフルPSG検査を推奨し、睡眠中の気道の閉塞を防止するCPAP治療が必要であれば積極的に導入をお薦めします。ちなみに、鼻閉改善で症状の改善が期待できる場合は、投薬治療や手術治療も行います。
 治療で最も大切にしていることは、できる限り患者さんの希望に沿った治療法を選ぶこと。「重症だけれども、CPAP治療やマウスピース治療は避けたい」という方には、側臥位・舌体操の指導や減量のため内科を紹介したり、「CPAP治療を避けたいけれども、いびきを改善したい」という方はマウスピース治療や鼻閉改善手術を推奨したりと、極力フレキシブルに対応しています。
 SASの予防としては、鼻炎治療は薬剤性鼻炎のリスクを回避する意味でも、市販薬など自己流で治そうとはせず、耳鼻科で適切な治療を受けてください。また、メタボリックの予防がSASの予防にも直結するため、適度な運動や食事を心がけるのも賢明です。鼻閉や舌根沈下を防ぐためには、飲酒を控えめにしておくことも有効的です。日頃のちょっとした意識がSASの予防につながっていくのです。

 春の不調・新生活に備えよう!特集 4 

インプラント

画一的な治療ではなく、患者さんの口腔内に
ぴったりフィットするオーダーメイド治療を心がけています

インプラント治療は保険適用外ですが
噛む力は天然歯の約80%まで回復

 インプラントとは、医学的には体内に埋め込む医療機器や材料の総称のことです。歯科におけるインプラントとは、失ってしまった自分の歯の代わりに人工の歯根をあごの骨に埋め込み、その上に人工歯を作製して噛み合わせを回復する治療法のことを指します。
 インプラントにすることのメリットはまず、天然歯のようにあごの骨に固定するため、違和感なく噛むことができます。噛む力は天然歯の約80%まで回復すると言われ、ある程度の固いものは噛むことができます。また、隣接する歯を削る必要がないのもメリットの一つと言えるでしょう。
 身体に疾患を抱えている方には治療できない場合もあったり、また治療期間が長いだけでなく、インプラントを維持するためには十分な口腔衛生の管理と定期的な検診が必要になります。

固定式で違和感が少ないブリッジ
簡単に取り外せて清潔に保てる入れ歯

 インプラントとよく比較されるのがブリッジです。これは欠損部の両隣の歯を削って支柱にし、歯のない部分に橋を架けて固定する方法になります。固定式のため装着しても違和感が少なく、人工の歯の材料を選択することで天然の歯と遜色ない審美的な修復が可能になります。
 また、入れ歯についてはクラスプという健康な歯に引っかけ、欠損部に人工歯と歯茎を固定する方法です。ブリッジではカバーできない大きな欠損に有効的で、ブリッジのように健全な歯を削らずとも成立。もちろん簡単に取り外しができるため、常にクリーンな状態を保つこともできます。

治療種別の特徴

あご骨の状態と予算の都合により
インプラントの数を変えられる

 基本的にあごの骨がある方ならインプラント治療を行うことができます。ただし、放射線治療の既往や骨粗鬆症、重度な糖尿病がある人はインプラントの生着率が低下します。また、インプラントを支える顎骨が吸収されている場合は治療が困難になります。
 当院のインプラント治療は、日本メディカルマテリアル社により導入された純日本製のPOIインプラントシステムを採用。インプラントは3部構造になっていて、あご骨の中に入る部分をインプラント体、インプラント体から歯肉を貫通して口腔内に突き出る土台部分をアバットメント、その上に被せる物を上部構造と言います。必ずしも失った歯の分だけインプラントを入れる必要はなく、あご骨の状態と予算の都合によりインプラントの数を変えられます。また、義歯の安定の補助のためにインプラントを使用したりすることもあります。
 インプラント治療の手順としては、まずはレントゲン撮影を行いインプラントのメリットとデメリットを説明。希望される場合は、CT撮影を行って骨の幅と高さを計測し、骨密度が十分ならば埋入手術を実施します。基本的にインプラント埋入後3カ月間は骨とインプラントが結合するまでの待期期間となります。その後、歯肉をくり抜き貫通部分を作成し、周囲の歯肉が馴染めば歯型取りを実施。アバットメントと仮歯を装着します。仮歯に慣れるとそれを型取りし、最終的な補てつ物を装着。それ以降は3~6カ月ごとにメンテナンスを行っていきます。

唇付近の感覚神経を傷つけないよう
細心の注意を払っています

 インプラント治療で最も注意していることは、当然ながら事故を起こさないこと。特に下あごの場合は、唇付近に向かう感覚神経があります。基本的に歯茎から神経までの距離が1cm程度あればインプラントは可能です。ただ、インプラントの長さは長ければ長いほど安定します。だからこそ、しっかりとしたものを作りたいという気持ちが強くなるあまり、神経を傷つけてしまう可能性があるので、特に細心の注意を払っています。
 歯並びや噛み方は人それぞれ。画一的な治療ではなく、患者さんの口腔内にフィットするオーダーメイド治療を心がけています。

 春の不調・新生活に備えよう!特集 5 

ホワイトニング

当院では短期間で効果が表れ、
より白さを実感できるオフィスホワイトニングを実施

 ホワイトニングとは、専用の薬剤を歯の内部に浸透させることで“化学的”に漂白する治療のこと。主に歯の黄ばみを分解し、本来よりも白く輝く歯を実現します。歯を白くする方法としてクリーニングもありますが、これは歯の表面に付着した歯垢や歯石などの汚れを専用器具で“機械的”に除去し、歯本来の白さを取り戻します。
 歯が黄ばむ原因は主に4つが考えられます。その最たる例が、外部からの着色汚れ(ステイン)による黄ばみ。お茶やコーヒーなどに含まれるタンニン、タバコのニコチンやタールなどが歯の表面に付着し、時間の経過とともに黄ばみが固着します。また、加齢によって歯の表面を覆うエナメル質(半透明色)が摩耗されることで内側の象牙質(黄色)が透けて見え、黄ばみが目立つこともあります。そのほかでは、虫歯や抗生物質によっても歯が変色することがあります。
 ホワイトニングは大きく分けて「オフィスホワイトニング」と「ホームホワイトニング」の2種類がありますが、当院ではオフィスホワイトニングを採用。オフィスは自宅で行うホームよりも短期間で効果が表れ、より白さを実感できるのもメリットです。一方、デメリットとしては自費治療のため費用が高くなるほか、効果に個人差が出たり、歯がしみる症状が現れたりすることもあります。
 治療の流れとしては、口内環境を確認した後、上記のメリットやデメリットを説明。歯に歯石などが付着していると効果が低下するため、必要に応じてクリーニングを行い、それからホワイトニングを実施します。
 治療後のアフターケアとしては、3カ月ごとのクリーニングや専用の歯磨剤を推奨し、より長く白い歯を維持していただけるよう努めています。

当院でホワイトニングができない方

  • 幼児から高校生までの方
  • 妊娠中や授乳中の方
  • 重度の虫歯や歯周病がある方
  • 歯のエナメル質や象牙質の成長が不十分の方
  • 無カタラーゼ症の方
    ※ホワイトニングの主要薬剤である過酸化水素を分解する
    「カタラーゼ」が不足する病気
  • 光線過敏症の方(オフィスホワイトニングで光照射を行うため) など

当院でホワイトニングができない歯

  • 詰め物や被せ物などの人工歯
  • 神経を失っている歯など

ホワイトニング費用例

  • 週1×3回=31,500円

KOBAYASHI SAORI 
小林 沙織
歯科口腔外科 歯科衛生士

TSUNEI MAIKO
常井 麻衣子
歯科口腔外科 歯科衛生士

 春の不調・新生活に備えよう!特集 6 

口腔ケア

口腔ケアは口内だけでなく全身の病気を抑える効果も期待できる

健康的な日常生活を送るためには継続的な口腔ケアがとても重要

 口腔ケアとは、虫歯や歯周病の対策に加え、心身の健康を維持する幅広いケアのことを指します。口の中を清潔にすることで心地良さを得られるだけでなく、生活の質の向上や全身の健康維持・向上にも直結。実は、口の健康は全身の健康にも深い関わりがあり、例えば歯周病は脳梗塞や動脈硬化、心筋梗塞や誤嚥性肺炎などの疾患を引き起こすリスクがあると言われています。そのような意味でも、健康的な日常生活を送るためには口腔ケアが重要なのです。
 口腔ケアは「器質的口腔ケア」と「機能的口腔ケア」の2種類があります。まず、「器質的口腔ケア」は、口の中を清潔に保つためのケアのこと。うがいや歯磨き、義歯や舌の清掃、口内の歯垢の除去などが主な作業になります。口の汚れは歯だけではなく、歯茎や舌、頬粘膜にも細菌が繁殖することがあり、それが歯周病や誤嚥性肺炎につながる恐れもあるため、定期的なケアが大切です。
 一方の「機能的口腔ケア」は、口腔機能の維持や回復に向けたケアのこと。食べる、話す、表情をつくるなど口の働きのことを口腔機能と言い、口周りの筋肉や舌を動かすことで、口腔機能の低下を防止。ケア方法としては、口の中や口周りのマッサージ、飲み込む力を鍛えるトレーニングやリハビリなどを行うことで、機能の衰えを防いでいます。
 口腔ケアのメリットとしては、当然ながら虫歯や歯周病などの口腔内トラブルの減少につながります。歯周病によって義歯がうまく固定されない、歯茎と義歯の間に食べかすが挟まって痛みが生じるといった症状の改善も期待できます。また、口内の細菌が原因で発症する誤嚥性肺炎や感染症の予防につながるのもメリットの一つ。特に、誤嚥性肺炎は高齢者の主な死因の一つになっている疾患なので、口の中の細菌や汚れを取り除くことで発症リスクを抑える効果もあります。そのほか、舌の汚れを取り除くことによる味覚改善や、口や舌の動きの改善によるコミュニケーションの向上など、口腔ケアにはさまざまなメリットがあります。
 口腔ケアの治療で気を付けていることは、できるだけ患者さんに寄り添い声掛けで励ましながら最良の口腔ケアができるように、細心の注意を払うことです。

KONISHI TOSHIE
小西 寿枝
歯科口腔外科 歯科衛生士

 部署紹介 

放射線科

24時間体制で患者さんの不安を安心に変えるお手伝いをしています

 放射線科は放射線を使って病変を画像化する検査全般の業務を行っています。胸腹や骨などの撮影で一般的にレントゲンと言われる一般撮影、人体の断面を撮影するCT撮影、乳房の撮影を行うマンモグラフィ、胃のバリウム検査などの透視検査、脳の血管の状態や流れを詳しく観察する血管撮影、骨粗しょう症の診断、経過観察の骨密度検査(DEXA法)、放射線治療装置のガンマナイフ、強い磁場のトンネルに入り、多角度で撮影するMRIがあります。
 また当院は24時間緊急検査に対応できる体制を整えております。特に脳卒中のカテーテル手術など緊急で起きた場合には、発症から8時間以内に終える必要があるため時間との戦いになります。当科ではスタッフが全ての検査機器を扱えることを目指し、日々トレーニングしています。
 なお、当科は約半数が女性技師ですので、マンモグラフィなどの検査も女性同士で安心して受ける事が出来ます。

〈MRI〉

強い磁石と電波によって、身体の内部情報を画像化する検査です。また当院では院外からの検査依頼も多くいただいております。

〈マンモグラフィ〉

乳房専用のX線撮影を行い検査します。乳房を板で圧迫し、薄く伸ばした状態で撮影します。当院は基本的に女性技師が対応いたします。

〈CT〉

X線を使い、比較的短時間で体内の様々な病巣を発見することができます。MRIと同じく院外からの検査依頼も多くいただいております。

〈レントゲン〉

X線を照射して撮影を行い画像化する検査です。当院では、FPD(フラットパネル)を採用しており、低被ばくに心がけています。

NAOE RYUSUKE
直江竜介  放射線科技師長

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