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SAS(睡眠時無呼吸症候群)とはWhat is SAS?

睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に断続的に無呼吸を繰り返し、その結果、日中傾眠など様々な症状を起こす疾患のことです。当院では2004年9月よりSASの検査と治療を耳鼻咽喉科にて行っております。
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome)
睡眠中に断続的に無呼吸を繰返し、その結果、日中傾眠などの種々の症状を呈する疾患の総称。
一晩7時間の睡眠中に30回以上の無呼吸があり、そのいくつかはnon-REM期にも出現するもの。
または、AI≧5(回/時間)
(Guilleminaultらによる)
無呼吸(Apnea)
10秒以上の気流の停止
無呼吸指数 (Apnea Index = AI)
睡眠1時間あたりの無呼吸の回数
無呼吸低呼吸指数 (Apnea Hypopnea Index = AHI)
睡眠1時間あたりの無呼吸と低呼吸を合わせた回数

SASの主な症状

他にも以下のような症状があります。
窒息感による途切れた眠り=覚醒、肥満、不眠、夜尿症、インポテンス、性格の変化、うつ状態、むくみ

睡眠Check!

状況 点数
1.座って読書しているとき
  • 0
  • 1
  • 2
  • 3
2.テレビを見ているとき
  • 0
  • 1
  • 2
  • 3
3.公の場所で座って何もしないとき(たとえば劇場や会議)
  • 0
  • 1
  • 2
  • 3
4.1時間続けて車に乗せてもらっているとき
  • 0
  • 1
  • 2
  • 3
5.状況が許せば、午後横になって休息するとき
  • 0
  • 1
  • 2
  • 3
6.座って誰かと話をしているとき
  • 0
  • 1
  • 2
  • 3
7.昼食後(お酒を飲まずに)静かに座っているとき
  • 0
  • 1
  • 2
  • 3
8.車中で、交通渋滞で2~3分とまっているとき
  • 0
  • 1
  • 2
  • 3
 
合計
0:眠くならない。 1:まれに眠くなる。 2:しばしば眠くなる。 3:よく眠くなる。
合計 10点以下のものは正常 10点以上は…

合併症

  • 高血圧 健康な人と比べて約3倍かかる可能性があります。
  • 心疾患 狭心症や心筋梗塞にかかる可能性が1.2~6.9倍となります。
  • 糖尿病 重症な睡眠時無呼吸の人は、肥満であってもそうでなくても糖尿病を合併する可能性があります。
  • 脳卒中 脳血管障害のリスクを高めると言われ、10.8倍も危険性が増すと言われています。

SASと事故の関係

JR西日本の新幹線運転士の居眠り事故など日本でも睡眠時無呼吸による事故が起こっていますが、世界も様々な事故が起こっています。
海 運 事 故

1989 エクソンバリデス号の座礁・原油流出事故
米国最大の海洋汚染。乗員の睡眠不足が原因。
Wake Up America 報告例: 睡眠不足・睡眠障害による
1995 客船“スタープリンセス号”座礁
航海士がSAS~居眠りが原因と明確に認定

産 業 事 故

1979 スリーマイル島原子力発電所事故
(炉心融解未然)
作業員の睡眠不足による人的ミス指摘
1983 チェルノブイリ原発事故
1986 米スペースシャトル
“チャレンジャー号”爆発事故
同様に作業員の睡眠不足が原因とされる

睡眠時無呼吸症候群の交通事故への影響
Findley L, et al: Automobile accidents involving patients with obstructive sleep apnea. Am Rev Respir Dis, 1988
Driving simulator performance in patients with sleep apnea. Am Rev Respir Dis, 1988

jikohassei1 29名の睡眠時無呼吸の患者さんと35名の健常人、370万人の全運転者における5年間の交通事故発生率を比較したグラフです。SAS患者さんの事故発生率は、健常人の約7倍と非常に高くなっています。
jikohassei2 このグラフは睡眠時無呼吸の重症度による交通事故の発生率です。重症度が増すにつれ発生率は高くなっています。

当院での検査と治療の流れ

耳鼻咽喉科を受診(健康診断や紹介元で施行された簡易睡眠検査の結果を必ずご持参ください※)

全身の検査・鼻・口・喉等局所の異常の有無を診察

ポリソムグラフィー(PSG)の検査日程を設定

入院検査(ポリソムグラフィー)

外来にて検査結果の説明と今後の治療方針を決定します。

ポリソムノグラフィー
眠り(脳波)と呼吸について調べる検査です。体に検査用の端子をつけて寝るだけですので痛い検査ではありません。
検査は夕方過ぎから翌早朝までの一泊入院で行います。お仕事のある方は勤務先から就業後に来院し、翌朝病院より出勤が可能です。晩酌の習慣のある方はお酒を召し上がってから入院していただいても結構です。後日検査の結果を外来でご説明した後、今後の治療方針を決定します。

※簡易睡眠検査を受けておられない方について当科外来でも施行可能ですが結果判明までに3~4週間必要です。
その後入院検査を手配します。

当院におけるSASの治療法

1.内科的治療
CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸法)
2.外科的治療
鼻腔内手術(鼻中隔弯曲矯正術、粘膜下甲介骨切除術等)
口腔内手術(口蓋扁桃摘出術等)

CPAP療法
睡眠時無呼吸症候群は、舌が気道ふさぐなどの原因により気道が閉塞し、無呼吸になります。


CPAPは鼻マスクを介して、一定陽圧の空気を送り込み、上気道を広げます。広げるための圧力は患者さん個々に異なります。

CPAPで治療をすると・・・

  • 無呼吸、低呼吸、いびきの消失
  • 睡眠の質の改善
  • 日中の眠気の消失
  • 日中の活動性の増加⇒体重減少
  • 夜間尿の減少
  • 高血圧の改善
  • 合併症の予防

睡眠時無呼吸症候群は

  • 質の悪い眠りは生活を破壊します。
  • 生活習慣病と密接に関係しています。
  • 合併症の悪化をもたらします。
  • 社会にも悪影響を及ぼします。

心当たりのある方は早期に受診をするように心がけましょう。